きみと、波にのれたら 視聴感想

2019の映画、「きみと、波にのれたら」をアマプラで視聴しました。

ネタバレもどんどんするのでこれから見る予定のある方はお控えください。

 


○あらすじ


まずは簡単にストーリー紹介。


主人公・ひな子はサーフィンをするために海近くの大学に入学、一人暮らしを始めた。その街で消防士・港と出会い、2人は恋人になった。順風満帆に思たが、ある日、港は海で人を助けて死んでしまう。
その後、ある事をトリガーに、水の中に港が出てくるようになった。
未来に不安を抱いていたひな子が、自分に自信を持って未来に進み始めるまでが描かれる。

 


○全体の感想


率直にいうと、ちょっと苦手な映画だった。なぜそう感じたかは以下に説明する。
まず映像について。波がイメージの為か、イラストが常にどこか波打ったように動き続けるのだ。主人公たちの悩みや葛藤も表しているという事は感じ取れるのだが、なんだか酔ってしまいそうになる。特に港が死んだ後の主人公のアパートでの描写。ひな子視点(俯き加減でひじと脚のみがみえている)のアングルがしばらく続く。貧乏ゆすりをしているのかぬるぬる動き続けるのである。中々に不気味である。
次に音楽について。
この映画は劇中歌が異様に少ない。なぜかというと、一つの曲が繰り返し繰り返し出てくるのだ。もちろんその曲はストーリーと密接に関係している。その事は分かるのだが、少々下品なまでに出てくる。
歌が映画の中で重要な意味を持つ作品といえば新海誠監督の映画が思い浮かぶ。特に「天気の子」はとても効果的な使われ方をしていた。時々流れるbgmはインストのみが流れ、最後の最後に一度だけ歌詞が入る。事前に誰もが口ずさめるほど認知度を上げるというCM戦略も素晴らしい(戦略だと思うのだけれど実際はどうなのだろう)。観客は、メロディラインを聞けば歌詞が浮かんでくる。そして焦らしに焦らされて歌詞が乗った時には感極まって泣いてしまうのだ。
それに比べこちらは、ひな子と港の口ずさむ歌を延々と聞くハメになる。音源のような綺麗な音ではない、アカペラというのは長時間ききたいものではない。まして人の音なら尚更だ。
最後にストーリーについて。
映画の冒頭で明かされるのだが、実はひな子と港は子どもの頃に一度出会っている。港だけがそれを覚えているというところから話が始まる。ひな子がその事に気づくのは港が亡くなった後だ。
しかし物語の端々に露骨に散りばめられたヒント(ほぼ正解)により、観客は事前に読めてしまうのだ。その為主人公の鈍感さの方が気にかかり、ひな子が気づいた時の劇的な演出に違和感を感じてしまう。せめてどのような出来事だったかをわかりにくくするなど、対処のしようはあっただろう。

 

酷評しましたが、そこそこ面白かったのも事実です。気になった人は是非見てみてくださいね。それでは。

 

霜月